地域医療推進連携法人について
今月初め、地域医療連携推進法人に関する研修会が群馬県医師会と群馬県病院協会の共催により前橋市内で開催されました。この法人は2017年から存在するのですが、私がこの法人を知ったのは昨年5月です。全国で認定されているのは45法人ですが(令和6年10月時点)、群馬県では今のところ認定実績はありません。
私が原町赤十字病院で働き始めたのは平成11年(1999年)4月ですので、四半世紀以上勤務を続けていることになります。この間、吾妻の医療は大きく変わってきています。医科だけでなく歯科の領域でも新規の診療所ができることはほとんどなく、また既存の診療所はその継承が大変難しい問題となっています。医療だけではありません。子供の数は大きく減少し、多くの小中学校が統廃合されました。さらに伝統ある吾妻高校と中之条高校も統合されました。これらの現象は吾妻に限ったことではありません。他の多くの地域でも同様です。
世の中が大きく変化する中でも、私たちの使命、やるべきことは決して変わりません。それは患者さんだけでなく住民の方々のいのちと健康、生活、尊厳を守ることです。これは日赤の使命に通じるところでもあります。その変わらない使命を守るために、私たち医療や福祉に従事する者は、常に変化し、様々な状況に柔軟に対応していく必要があります。さらに10年先、20年先を見据えることも重要です。
吾妻には減ってきたとはいえ多くの医療機関、社会福祉法人が存在します。おそらくどの施設でも患者や利用者のため、そして何よりそこに働く従業員のために精いっぱい努力していることと思います。しかしそれらにも限界があります。その理由の一つは人手不足であり、もう一つは経営的問題です。個人の限界が医療や施設の限界にならないように、個々の医療機関や社会福祉法人の限界が地域医療の限界にならないような方策が、今こそ求められています。個々の施設だけで地域の医療を守ることはできません。それぞれが協力し合うこと、さらには、町村や県との連携をとりながらこの問題を共有することが極めて大切です。
地域医療連携推進法人は、地域における医療の機能分担や業務の連携を推進することが目的とされています。言い換えると「地域における良質かつ適正な医療を効率的に提供する体制を構築する」ということです。この法人を活用することで地域の医療の問題が直ちに解決されることはないでしょう。しかし吾妻の医療を維持継続していくための一つの選択肢になる可能性はあるのかもしれません。
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