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医療の仕事、特に病院で働くということについて

世界には様々な仕事があります。私たちの周りにも実に多くの仕事があります。私が全く知らない仕事も数限りなく存在するのでしょう。そして今後も新しい仕事が増え続けるのでしょう。一方だんだん衰退していく仕事もあります。消滅してしまった仕事もあります。 医療という仕事は今後どうなっていくのでしょうか。最近よく言われるように、AIで診断し、AIで治療薬を選択する時代が間もなく到来するのでしょうか。AIによる手術も可能になっていくのでしょうか。 医療の仕事、特に病院で働くということについて、皆さんはどのように感じていますか。医療という仕事には、常に患者さんという対象がいます。患者さんには家族がいます。もちろん家族がいない人もいますし、家族とは疎遠となっている人もいます。原町赤十字病院を受診する患者さんの背景は様々です。その背景に私たちは土足で踏み込むことはできません。しかし何度か会っているうちに、医療とは全く関係のない話をすることができることがあります。そういった話はとても貴重ですし、私はそういう話が聞けることが大好きです。 話を戻しましょう。私自身は、医療の仕事、病院での仕事は、今後少しずつ変化していくものと感じています。それは科学の進歩によるところもありますし、人口動態の変化も大きく関与しています。この変化の中で、私たちが最も重視すべきこと、これからもずっと大事にすべきことは、間違いなく次の一点に尽きると思います。 患者や地域住民の、いのちと健康と尊厳を守る、という赤十字の精神です。 医療に従事するという私たちの社会的存在は、私たちの意識に大きく影響します。医療という面から世の中に貢献しているという意識が、私たちのプライドにつながります。原町赤十字病院で働く皆さんが、それぞれの分野で強いプライドを持って光り輝くことを、心から願っています。

見ようとすること

9月16日の土曜、群馬大学総合外科学講座の総会および懇親会が開催されました。対面での開催は久しぶりです。数年前に群馬の外科は統合され、一つの大きな集団を形成しています。その中心が群馬大学総合外科学講座開講記念会というもので、現在会員数は311名です。一見多いように感じるかもしれませんが、私自身を含め還暦を越した先生も非常に多く含まれています。今後の群馬の外科医療の維持を考えると、多くの若手の医師が入会してくれることを強く期待しています。 ところで総会と懇親会の間には記念講演会がありました。特別講演をしてくださった先生の言葉を一つ紹介します。外科医として、そして医療者として常に新しいことを考え続けることは重要、そのためには「see with unclouded eyes」 という姿勢を持ちつつづけるべきということでした。「曇りなき眼(まなこ)で見定めよ」ということです。じつは「もののけ姫」のアシタカのセリフでもあります。いい言葉ですね。しかしこれほど難しいことはない。私たちは多くの経験を経て今の自己があります。素直な心を持ち続けたいとは思っても、なかなか困難です。 もう一つ紹介します。これは懇親会の乾杯の挨拶の中での話です。私たちは様々なものを見ているが、本当に見えているのだろうか? 例えば内視鏡画像ある病変が存在しても見えていないことがある。「ある」から見えるのではない、「見ようとする」から見えるのだ、という言葉です。言い方を変えると、見ようとしない限り、見えることはない、ということです。こちらは私たちの心がけと努力次第でできるかもしれません。 私たちの周りには実に多くの物事が存在します。できる限り、見ようとする努力をしていきたいと思います

ラグビーW杯に思うこと

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 開催国であるフランスとニュージーランドの開幕戦を皮切りに、第10回のラグビーワールドカップが始まりました。あのニュージーランドが初戦で負けてしまいました。日本は初戦でチリを見事に破りました。今回の大会はどうなっていくのでしょう。今後が楽しみです。 私がラグビーを見始めた高校時代(1970年代後半)、日本代表と海外のチームが年に数回試合をするのですが、圧倒的大差で日本は敗北していました。試合の最後の方で日本がトライを挙げると、勝敗とは関係なく大騒ぎでした。海外のチームとの力は歴然です。そして海外の選手たちのプレーをすごさに感激したものです。当時、五か国対抗ラグビー(イングランド、スコットランド、アイルランド、ウェールズ、フランスの総当たり戦)というものがありました。(現在はイタリアも加わり六か国になっています)ラグビーの試合は基本的に対抗戦方式で、年に1回の試合に死力を尽くします。国同士の戦いはテストマッチといって、最も権威のあるものです。高校時代この試合中継が時々夜中に放送されていました。録画することはできない時代でしたので、夜中に一生懸命見て、翌日チームメイトと興奮して話をしたことを覚えています。(寝過ごすこともありましたが) ところで第1回ワールドカップ(1987年)の優勝チームはニュージーランド、通称オールブラックスでした。高校時代に五か国対抗ラグビーを見ていた頃、これらのチームのレベルの高さに驚いたものですが、これらの五か国をして、ニュージーランドとのテストマッチではなかなか勝てませんでした。当時ニュージーランドの試合を日本で中継することはほとんどなかったので全く謎のチームでしたが、高校時代のチームメイトの一人は、見たこともないのに真っ黒のジャージを着てオールブラックスを気取っていました。 最後にフランスチームについて 私の高校時代のフランスの主将は、ジャン・ピエール・リーブという小柄なフランカーでした。まさに闘将、今でもそのプレーをよく覚えています。W杯がまだ始まってない時代です

新潟大学医学部学士会(有任会 ゆうじんかい)

9月2日の土曜、私の母校である新潟大学医学部学士会の群馬支部総会、懇親会が高崎で開催されました。対面では4年ぶりです。実はこの日、やはり新潟大学時代の私の恩師であり、かつ部活動の大先輩である先生(外科医)を囲む会が新潟市で開催されました。同級生から新潟に来いよ、という誘いがありましたが、群馬の会の方が先に決まっておりましたので、残念ながら新潟行きはあきらめました。新潟には4年近く訪れておりません。  ところでこの群馬支部の総会には、大学本部から一人の先生が派遣されます。今回は渋川高校出身新潟大学卒、新潟大学の中でも最も権威と伝統のある診療科の一つである脳神経外科で17年間教授をされ、今年3月で定年となった藤井幸彦先生がお見えになり講演をしてくださいました。藤井先生は現在新潟大学学士会本部の会長もされております。群馬出身、しかも私たちに大変なじみの深い渋川市出身であり、非常に親近感を覚えました。  懇親会ではとても楽しい時間を過ごすことができました。原町赤十字病院非常勤医師である消化器内科の田中先生、循環器内科の峯岸先生、そして吾妻保健福祉事務所長である窪田先生も参加してくださいました。それから東北大学病院で講師でありながら、毎週金曜に前橋日赤で婦人科の外来をしている大澤先生から、「院長便り」を読んでいますというお言葉をいただき、大変驚くとともに感激しました。  母校はいいものです。時代は違えども、同じ空間を共有したという事実は強い結びつきをもたらします。そしてたまにしか会わないということも、長きにわたる関係を維持してくれるのだと思います。