オークワテラス

オークワテラスをご存じでしょうか。私は今年になって初めてこの名前を知りました。令和6年3月に閉校となった吾妻郡長野原町の応桑小学校の跡地に建設された、新しい医療施設です。長野原町の萩原町長、長野原診療所医師の金子先生をはじめ、多くの人たちの思いが結集して完成されたものです。令和7年4月20日、オープニングセレモニーが開催されました。私も参加してきました。

セレモニーの冒頭、上州応桑関所太鼓が披露されました。一糸乱れぬ太鼓の響きは、オークワテラスのオープニングにふさわしいものでした。太鼓を叩いていた皆さんは、さぞかし練習をしたことと思います。セレモニーの最後は「KITADAN」という子供たちチームのダンスでした。こちらも指導者がしっかりしているのでしょう。見事なパフォーマンスでした。

ところでこのセレモニーに参加し、改めて地域医療の在り方を考え直すことになりました。地域中核病院の院長という立場からすれば、あらゆる疾患に対応できる総合病院であることが理想です。それが地域住民の安心、安全に大きく関与することも理解しています。一方吾妻郡だけでなく、日本の地域社会に存在する多くの小学校や中学校、高校では、統合や廃校が進んでいるのが現実です。医療についても、今後同じようなことが日本中で起こるかもしれません。大きく変化する地域の人口動態やニーズを把握し、私たち医療に従事するものは、常に変化を続ける必要があります。

ところで教育(公立な学校)も医療(公立や公的な病院)も、目的は営利でないことは同じです。しかし病院が学校と大きく異なるのは、経営が安定しなければ存続が困難になることです。住民の希望を最大限考慮しつつ、安心安全な医療の提供、職員の待遇改善、さらに職員を維持確保した上で、しっかりした経営基盤を構築することが求められます。これは大変難しいことです。原町赤十字病院も然りです。そして現在の日本の大半の病院も、非常に厳しい状況にあると言って過言ではありません。

オークワテラスは地域医療を考える上で一つのヒントを与えてくれます。施設内には調剤薬局だけでなくコンビニも併設されました。この責任者はフロンティア薬局原町店で薬局長をしていた八木さんです。診療所の2階には子供たちが遊べるプレイルームがあり、しかも庭は大変広く(もともと学校の校庭だったので当たり前ですが)、今後間違いなく地域コミュニティの中心になっていくでしょう。医療を中心にして地域が栄えるということは、私も理想とするところです。今後のオークワテラスの発展を心から願います。

コメント

このブログの人気の投稿

中学時代の記憶

故郷忘じがたく候