第42回群馬緩和医療研究会に参加して
9月13日、中之条町のバイテック文化ホールで「第42回群馬緩和医療研究会」が開催されました。当番世話人は、原町赤十字病院の笹本先生と看護師の加藤さんです。私もこの会に参加しましたので、その時に感じたことを書きたいと思います。
医療の世界は日進月歩です。たとえばがんに対する薬は常に研究され、そのうちのいくつかは実際に効果があるものとして世の中に登場します。またロボット手術などの低侵襲と言われる手術手技の進歩も、様々な領域で著しいものがあります。遺伝子レベルで病気の原因となる遺伝子を発見し、その情報に基づいたゲノム医療というものも現実化しつつあります。それらはまさに医療の発展と呼べるものですし、実際にこれらの新しい技術により恩恵を受けた方は数多くいらっしゃいます。
これらの進歩は大変素晴らしいことですが、今回の会に参加して、「医療はそれだけではない 他にも大事なことはあるのだ 病気ばっかり見ていてはいけない」ということを、改めて強く実感したところです。
たいがいの治療は、死を大前提にしていることは忘れてはいけない事実です。死をできる限り回避し、ある程度の犠牲を払っても長く生きることを可能とする治療が現代では優先されることが多いかと思います。もちろん整形外科のようにQOLを高めることを目的とする領域もありますが、それにしてもすべての患者さんは間違いなく死に向かって生きていくことになります。最先端の薬や技術をもってしても、治ることのない病はたくさん存在します。
医師の仕事に長く携わり私自身が今思うことは、結局すべての医療行為の行きつく先には「死」があるという現実です。「死ぬべき人間 いかに生くべきか」 古来よりずっと問われ続けた命題は、現代も色あせることはありませんし、これからもずっと続くことでしょう。
医療機関を訪れる患者さんの中には、この命題について深く悩まれて受診する方が決して少なくないと想像されます。
「緩和医療」の世界は、今後ますますその重要性を増していくことになるでしょう。今回の研究会の参加者は、医師や看護師はもちろん、薬剤師や栄養士、理学療法士、社会福祉士など、様々な分野の人たちが集まっていました。医療の原点を見る思いでした。
最期にもう一言。セッション3で「Haramachi Red Brass」の演奏がありました。とても素晴らしい演奏でした。進化していますね。今後の活躍に期待しています
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