なりたい自分
先日ある学会に参加しました。いくつかの新しい知見を得るとともに、いくつかの刺激を受けてきました。その中の一つを紹介したいと思います。
それは食事と健康に関する講演でした。演者は農林水産省の方です。食事は栄養摂取の最も重要な手段であることは言うまでもありません。そして食事、栄養に気を付ければ健康は維持できますよという話は、誰もがきっと何百回となく耳にしていることです。たとえば「甘いものは控えましょう」、「カロリーの取り過ぎはいけません」、「アルコールの飲み過ぎには注意」、「脂っぽい食事は控えめに」、「野菜をたくさん摂取しましょう」などなどです。こういった話を聞いた時の私たちの反応もだいたい決まっています。「そんなことはよくわかっています」、「ああそうですか、それができないから困っているのですよ」、「アルコールの飲み過ぎも、たまには体にいいとでも言ってくれないものか」、「だいたい世の中にはうまいものが多すぎるからよくないのだ」などではないでしょうか。
今回の講演の最も重要なポイントは、こんな食事の仕方がいいとか、こんな栄養素がいいから摂取しろというものではなく、最初に「なりたい自分」というものを自分自身がイメージしろということでした。「なりたい自分」というものを思い描きながら食事を再考しなさい、摂るべき栄養素を自分自身で考えなさいということです。
とは言われても、「なりたい自分」なんてものは考えてことはない、それより今の自分を大事にして好きなことをしたい、食べたいものを食べたい、と考える人の方が多数かもしれません。しかし他人に公言することはなくとも、心の中でひそかに「自分はこうありたい」と思っている人も実は多いのでないかと思います。「なりたい自分」になるために何か新しいことを始めることは大変でしょうが、毎日摂取している食事の内容や食事方法を少しばかり変更することは、それほど難しくはないのかもしれません。
どれだけ年をとっても、なりたい自分というものを時々考えることは意味のあることだと思います。人は生きている限り食事との関係が続きます。豪華な食事を連日摂取することが良いわけではありません。そういった食事はたまに食べることができるからこそ意味があるものです。
私は一昨年の秋より、昼に病院の検食をいただいています。病院の食事を食べることで、それだけで健康を維持できているような気がします。毎日完食で、検食簿にちょっとしたメモを残すようにしています。この場を借りて、栄養課の皆様に深くお礼を申し上げます
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