田植え


群馬では5月下旬から遅くとも6月上旬に田植えが行われます。水が張られた田んぼの中で苗が徐々に育っていく様子を見ると、毎年のことながらいい光景だなあと思います。

私の外来を受診する方には、農作業に従事している人がたくさんいます。時間に余裕がある時は、どんなものを作っていますかと、よく質問します。実に多くの野菜を作っている人もいますし、少ない種類の野菜を集中して栽培している人もいます。出荷している方もいれば、自宅用に作っているという方もいます。

こんにゃくは吾妻で栽培される中でも重要な野菜の一つかと思いますが、ここ数年値崩れの傾向にあること、後継者がいないこと、また栽培するのが実に大変なこと(話を聞いて驚きです)などより、こんにゃく作りを止める農家が増えていると聞きました。また一部の野菜は、十分育ちそろそろ収穫しようという時期に、猿やシカその他の動物に食べられてしまう、食べられてしまったのでとても悲しい、という話を聞くこともしばしばあります。

どんな仕事も楽ではないというのは当然のこととはいえ、やはり農作業というものは過酷な仕事だとつくづく思います。特に最近の猛暑は相当な影響を与えているかと推察します。この仕事を従事する人たちが安心して継続できる社会であってほしいと願いますが、実際に仕事をしている方々の意見を伺うと、それは非常に難しい問題であると実感します。

ところでいつも思うのですが、農作業に従事している人には一つの特徴があります。それは多くの人が実に元気だということです。80歳代は言うに及ばず、90歳を過ぎてもそれなりに仕事をしている人が少なからずいます。人間は頭を使うことは大事ですが、体を使うことはもっと大切だということなのでしょう。

先日の外来に80歳を超えた男性が受診しました。大きな手術を何度もしている方です。今年4月中旬にも手術をしています。元気そうで何よりだったのですが、話しを聞いてびっくりしました。「傷が痛かったんで、今年の田植えは6月の始めにしたよ」ということです。恐るべし!

農業のことは無知ですので偉そうなことを言える資格は全くないのですが、日本の米は、こういった人々によって守られているのだろうなあ、と感じています。

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