春の雪
先週は原町赤十字病院のある吾妻の地でも、また私の自宅がある前橋でも久しぶりにまとまった雪が降りました。3月最初の土曜日曜がとても暖かかったですので、まさに寒の戻りです。春の雪と言っていいでしょう。それなりに積もったのですが、その翌日の陽気で雪は瞬く間にほとんどが消えてしまいました。春の雪は実に儚いものです。
ところで「春の雪」と言えば、私にはどうしても三島由紀夫の作品が心に浮かびます。三島の著作はあまりに膨大ですので、私が今までに読んだものはその一部に過ぎません。その中に「春の雪」というタイトルの本があります。これは「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」へと続く、「豊饒の海」全4巻の冒頭の小説です。
「春の雪」の内容や感想についてはここでは記しませんが、「豊饒の海」全4巻を書き上げた後に三島由紀夫は自決します。したがってこの小説は三島が私たちに残してくれた最後の言葉と言えますので、もし読むのであればそれなりの心の準備が必要です。私が初めて三島由紀夫を読んだのは10代でしたが、なかなか「豊饒の海」には至りませんでした。いよいよ読むぞ、と心に決めた時にまとめて4巻を購入し一気に読み通したのは今から約20年前、40歳代前半です。それなりに私には大きな影響を与えたことは間違いないのですが、未だに十分理解しているとはとても思えません。唯識についての自分の考えがもう少し深まれば改めて読み返そうと思っています。それは遠い将来ではないかもしれませんし、あるいは自分の寿命がそろそろ尽きようとする時なのかもしれません。
春は様々なものが変化します。そして様々なものが生まれます。春の雪が降るような冷たい日もありますが、まるで初夏のような陽気の日もあります。3月8日の朝は比較的寒かったのですが、利根川沿いを走っているときに2回ほど鶯の初音を耳にしました。9日の朝は8日よりも気温は高かったのでもっと多くの鳴き声を聞くことができると思っていましたが、同じコースを走ったにも関わらず全く耳にすることはありませんでした。春は気まぐれです。それが春の良さでもあるし、春の魅力なのかもしれませんね。
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