韓国文学について

昨年のノーベル文学賞の受賞者は、韓国女性であるハン・ガン氏でした。私は韓国文学に以前から興味があったのですが、残念ながら読む機会はほとんどありませんでした。私がしばしば利用する本屋や図書館では、積極的に探そうとしなかったこともありますが、目にすることはあまりありませんでした。もっとも通信販売を利用すればすぐに手に入るわけですから、絶対に読まねばというほどではなかったということなのでしょう。昨年秋、斉藤真理子氏の「韓国文学の中心にあるもの」という本を読む機会がありました。日本による韓国併合以来の100年の歴史とともに韓国文学を紹介する本です。植民地支配から始まり、済州島事件、朝鮮戦争、南北分断、光州事件、IMF危機、セウォル号事故など、韓国の人たちは多くの困難を乗り越えてきたということを、この本を読んで改めて実感しました。事件としては知っていたとしても、それを自分の中で咀嚼し把握しようとすることはなかったということです。歴史というものは、いくら年表を眺めていても何もなりません。様々な弾圧の中で書き残した文学作品だからこそ、これらを知る一つの手がかりになるのでしょう。幸い県立図書館には少ないながらも韓国作品があります。今のところ斉藤真理子氏が紹介している本はないのですが、いくつか読みました。隣の国でありながら韓国について自分自身があまりに無知だったことを驚くばかりです。これからも読み続けようと思います。

ところで私は韓国に2度訪れたことがあります。どちらも国際学会のポスター発表でした。1回目は1999年の胃癌に関する学会で当時同じ研究室に所属していた二人の友人と、2回目は2007年で乳癌に関する学会でがんセンターの先輩の医師と、ともに2泊3日の旅でした。1回目の時は、それほど高くない額でソウル市内を観光するプライベートのツアーに参加しました。車の運転手兼案内役は比較的高齢の女性でしたが、日本語が堪能(彼女くらいの年齢の人たちはほとんど日本語を話せるということでした)で、韓国の歴史など気さく説明してくれたのがよい思い出です。2回目の時は帰国の日に学会主催の10㎞のチャリティマラソンに参加しました。どこを走ったのか全く覚えていないのですが、飛行機に乗り遅れることなく帰国できました。2回の旅の共通の感想は、韓国はとても近いなあということです。また行くぞと強く思ったはずですが、その後韓国を訪れることはありません。しかし韓国文学をこのまま読み続ければ、きっと再び足を運ぶ時が来るような気がします。いつのことか・・

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