春到来

3月に入って寒い日が続きました。私は毎朝ほぼ同じ時間にランニングを開始しますので、外に出て1,2分で触れる空気に体が反応し、冷たさ、寒さ、温かさ、湿っぽさ、風の向き、強さなどを感じとっています。毎年3月の第2日曜あたりに鶯の初音を聞き分けることができるため、先週の土曜、日曜の利根川沿いのランニング時に耳をそばだてていたのですが、残念ながら私の耳には届きませんでした。先週までは寒い日が続いていましたし、その土日はとりわけ寒かった日です。17日の日曜、ようやく鶯の鳴き声を聞くことができました。いよいよ春到来です。

春は気温が変わるだけでなく、日が昇る時間も変わります。2月まではランニング終了時も暗かったのですが、3月に入ってからは東の空がだんだん明るくなるのを感じています。ここ数日は天気さえよければ曙光が差し込むのを眺めることもできます。春は何か新しいものが生まれる、という予感を確かに私たちに与えてくれます。

日本の社会では、春が区切りになるということが多々あります。学校の入学、卒業がこの時期に行われる影響が大きいのでしょう。先日渋川看護専門学校の卒業式に出席しました。厳かな雰囲気の中、粛々と滞りなく式は進みました。在校生の送辞、卒業生の答辞を聞きながら、自分自身の昔のことが思い出され、胸に迫るものがありました。私は中学2年の時に在校生代表として送辞を、3年の時は卒業生代表として答辞を読むという名誉にあずかりました。原稿は前の年のものを参考に自分で書いたのですが、担当の先生にずいぶん直されました。また「ゆっくり読め」と繰り返し指摘を受けました。当時の私は自分では自覚がなかったのですが、ずいぶん早口だったのでしょう。式の後、「内田がゆっくり話すのを初めて聞いた」と先生がおっしゃっていました。褒められているのか、皮肉を言われているのかわかりませんが、今となってはいい思い出です。

ところで春という季節は暖かく穏やかなイメージがありますが、だからこそそれに反する言葉は相乗的に何らかの意味を付加し、私たちの心に強い印象を与えます。三島由紀夫の「春の雪」、ヘルマン・ヘッセの「春の嵐」などがそうでしょう。どちらも私にとって大事な小説です。

春の名歌は多数あります。今回、「古今和歌集 春上」 伊勢の歌を紹介します。

春ごとに流るる川を花とみて 折られぬ水に袖や濡れなむ



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