災害救護活動について思うこと
日本赤十字社が取り組むべき最も重要なテーマの一つは、「赤十字グループの総合力を発揮した大規模災害への対応」です。1月1日に発生した能登半島地震についても、全国の赤十字の多くの職員が現地に赴いて献身的な活動をしています。原町赤十字病院も三つの救護班が石川県珠洲市を中心に活動をしてきました。そして今も、看護師長の一人がこころのケア活動を行うために石川県に入っています。
自分自身の経験の話をします。私が初めて災害救護の現場に立ったのは、東日本大震災の時です。救護活動が大事なことは百も承知でしたが、原町赤十字病院のような規模の病院では、一人の医師が不在になることの影響は非常に大きなものがあります。そのため、救護活動に参加することについて積極的に手を挙げることはできませんでした。たまたま5月の連休の頃に原町赤十字病院の第三班目の派遣の話があり、当時の外科医師の了解を得て、救護班の一人として釜石市や大槌町で活動をさせていただきました。その時の経験は、自分自身の人生を振り返ってもとても意義のあることだったと強く感じています。そのことについてこの短い文章の中で書き尽くすことはできません。
その時私が知ったことで最も印象深いことは、赤十字の職員の多くは災害救護活動の重要性を認識し、それを自分の任務の一つとしていることです。原町赤十字病院の職員も同様でした。その結果、原町赤十字病院にも災害対策委員会が立ち上がりました。そして救護に必要な資材を整理、災害救護マニュアルを作成し、院内だけでなく他地域でも開催される災害訓練に積極的に参加しました。同時にDMATを取得する職員も年々増加、私自身もDMATの資格を得ました。
今回の救護班派遣時の壮行式や救護班帰還時に多くの職員が集まる様子を見ると、そして当院の採用試験での面接で「災害救護に関わる仕事をしたい」という希望を少なからず耳にすると、この活動は私たちに課せられた義務であり、社会の中での大事な責任であると改めて感じ入るところです。
災害救護活動は個人の活動ではなく、病院全体の事業、赤十字全体の事業です。派遣された職員の仕事を、常に他の職員がサポートしています。私たちはそのことを決して忘れてはいけません。また災害救護の活動は、行政をはじめ様々な団体と協力し合うことが大事です。吾妻で大きな災害が起こった時にも迅速な対応ができるよう、住民の人たちとともに考えていくことも私たちの役割だと思います。
コメント
コメントを投稿