建礼門院右京大夫

建礼門院は平家物語の悲劇のヒロインですので、日本人であればほとんどの方がよく知っている人物だと思います。平清盛の娘にして、第80代天皇である高倉天皇の皇后です。壇ノ浦の戦いのとき、母親である二位尼と息子である安徳天皇の後を追って海に飛び込んだものの救い出され、その後出家し京都の寂光院で余生を送ったとされています。数年前に訪れましたが静かなところですよね。またいつか行って、手を合わせたいと思います。

ところで今回の話題は建礼門院右京大夫です。4,5年前に図書館に行った時、中国人である彭丹という女性が執筆した「いにしえの恋歌」という本が、たまたま私の目に留まりました。借りてもほとんど読まないことも多いのですが、この本はかなり面白かっただけでなく、無教養の私にはとても刺激になりました。本の内容は、簡単に言うと漢詩と和歌の比較です。この中で、北宋時代の中国人女性の李清照と建礼門院右京大夫の比較をしていました。その時から右京大夫は私にとって身近な存在になりました。(その後この本についてはもう一度借りて再読し、また右京大夫を描いた別の本も借りて読みました)

話しは変わりますが、日曜6時からNHKラジオ第2で「古典朗読」という番組があります。私は10年以上前からランニングをしながらこの番組を聞いています。ただし聞くといっても車が通ると聞こえなくなりますし、だいたいボーっとしているときが多いですのでほとんど頭には入っていません。この番組で、11月後半から「建礼門院右京大夫集」が取り上げられています。

建礼門院右京大夫は清盛の孫である資盛の恋人であり、たくさんの恋歌を歌っています。実は若き日の三島由紀夫は、この女性のある歌からインスピレーションを得てひとつの作品を書いています。十代の時です。とても信じられません。また彭丹の本の中では、建礼門院右京大夫について恋歌の巧みさを評価するだけでなく、星の美しさを表現した歌に注目しています。日本人は月を歌った名歌はたくさんありますが、実は星を描いた歌は少ないようです。

 月をこそ眺めなれしか 星の夜の深きあはれを今宵知りぬる

今頃の季節に読んだ歌と言われています。


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