大人の友情

最近、白洲正子と河合隼雄の対談集を読みました。以前も読んだことがあるのですが、図書館でつい目に入ってしまったため、また借りてしまいました。侍のような女性である白洲正子(河合隼雄がそのように表現している)と、いつも楽しく軽い冗談を交えながら話をする河合隼雄は、性格だけでなくそれぞれが専門とする分野も全く異なるのですが(もちろん男性、女性と性も異なるのですが)、この本を読むと二人は強い友情で結ばれていたような気がします。

小学生時代、学校に提出する書類の中に、「友人の名前を3名くらい記載しなさい」というものがあったと記憶しています。毎日のように放課後は誰かの家に行っていましたし、日曜も毎週のように誰かと遊んでいましたので、友人といっていい人は多数いましたが、改めてこういった質問を見ると困惑したものです。高校時代になると部活動の仲間との付き合いが中心となり今でも繋がりがありますが、一緒に浪人生活を送った仲間たちともずっと交流が続いています。大学時代の友人とは会う機会は減ってしまいましたが、同じ環境で、同じ勉強をし(吸収したレベルは異なりますが)、同じ道を目指していたという固い絆を、今でも強く感じています。

ところが仕事をするようになってからは、友情という言葉を意識することはなくなってしまいました。(もともとあまりなかったとも言えますが、振り返ると無意識のうちに友情を育んでいたというのが実情かもしれません)今では「友情」というちょっと硬いイメージの関係よりも、「仲間」というやや緩い意識で他人との付き合いをしていると感じています。「仲間」はいいものです。お互いのプライバシーを尊重しつつも、共通の目的に対しては一緒に向かい合うことができます。

とはいっても友情もいいですよね。河合隼雄には「大人の友情」という著作があります。この本には、大人になってから得た友人というものは非常に良いもんだ、と書かれています。つい先日、まさに私が大人になってから得た貴重な友人二人と一緒に飲む機会がありました。約半年ぶりです。お互い欠点もありますが(特に私は欠点だらけですが)、尊敬できるところも持ち合わせています。彼らと会うと気分転換できますし、今回も楽しい時間を過ごすことができました。これからもこの関係を続けたいと思います。

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