ニートフェルローレン
最近、J・M・クッツェーという南アフリカ出身の作家の本を図書館で借りました。ノーベル文学賞も受賞しておりますので世界的に著名な作家なのでしょうが、私自身はあるきっかけで最近名前を知ったくらいで、この作家について語ることはできません。私が借りた本には非常に短い短編が三つ収められていました。その中の「ニートフェルローレン」という作品がとても印象に残りました。
南アフリカの歴史については、私たちも本や新聞、教科書などで、あるいはテレビやラジオのニュースなどで知ることはできます。私自身の南アフリカに関する知識もその程度です。したがって、実際にそこに暮らす人々の生活を知ることはできません。ある地域の中に新しい道ができ、新しい建物ができ、新しい産業が栄えることは、一般的には良いこととされています。しかし長い目で見た場合、実際にそこに暮らす人たちにとって本当に良いことなのか、それがその地域で生活する人々を幸せに導くのか、そんなことがアルパトヘイト廃止後の南アフリカのある地域を舞台に描かれた作品が「ニートフェルローレン」です。吾妻の現状にも重なるような気がしました。
ところで10月15日の日曜の午後、中之条町のバイテック文化ホールで第37回群馬県糖尿病セミナーが開催されました。専門外ではありますが、当院の高木看護師長や下田先生の講演もあり参加しました。糖尿病の診療は奥が深いですね。患者さんに病気についてよく知ってもらうことは重要ですが、病気であることを意識させないことも大事なのですね。そして糖尿病の治療をしっかり行うためには、患者さんの生活の中に入り込んでいくことが不可欠である、ということがよくわかりました。
医療従事者は新しい道や建物を作ることはできません。しかし、患者さんや家族の生活を知ることができます。私自身もまだまだ未熟と言わざるを得ませんが、できる限り患者さんの生活の中に入り込んで、その生活が豊かになるよう努力していきたいと思います。
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