事例検討会
吾妻の様々な職種の人たちと定期的に事例検討会を開催しています。様々な職種というのは、医師、看護師、薬剤師、ケアマネ、保健センター等の行政の方々、施設事業者や勤務者、栄養士などです。コロナ前に対面式で始まり、現在はズームを利用しています。事務局は「あがつま医療アカデミー」というNPO法人です。ズームでの開催は最初こそ戸惑うことも多かったのですが、最近はだいぶ慣れてきて、途中に行うグループワークも含め進行は非常にスムーズです。
9月末に今年度初めての事例検討会を行いました。この検討会でディスカッションされる事例は、うまくいかなかったもの、反省すべきものが多いのですが、今回はうまくいった事例が提示されました。事例の提供者は調剤薬局の薬剤師です。調剤薬局の薬剤師が患者さんから得られる情報は極めて少ないものです。そのため、処方箋の内容やその方が醸し出す雰囲気、わずかな会話の中で、その生活を想像しているとのことでした。もし患者さんに積極的に関わろうとするならば相当能動的にならざるを得ませんし、逆の言い方をすれば、もしその気持ちが乏しければ患者さんとの関係は実に浅いものになってしまいます。(これはすべての医療者に言えることですが)
今回の薬剤師の対応はとても感銘を受けました。患者さんの問題点を少ない情報からあぶり出し、それを一気に解決するのでなく、一つの些細なところから始める、それがうまくいったところで他の問題点も少しずつ修正していく、しかも本人が自発的に変えていくような環境を作り出しておりました。この方は自分の健康に対する意識も高まっていったようです。患者さんの生活がよくするために薬の力は大事ですが、それ以上に重要なのは人間の力なのでしょう。まさに、人間を救うのは人間だ、です。
最後に一言。以前このコラムで紹介した「ヘッセへの誘い」を中之条町の図書館で借り、私のところに持ってきてくださった方がおりました。心優しき方に心から感謝いたします。
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