卯の花会について

 「卯の花会」をご存知でしょうか。耳にしたことがある方もきっといるでしょう。乳がんの患者さんたちの会です。原町赤十字病院では2012年に乳がんの患者会が立ち上がりました。そして2014年に、この会の名称が「卯の花会」と命名されました。芭蕉に随行した曾良が白川の関で詠んだ句、「卯の花をかざしに関の晴れ着かな」が由来です。乳がんの患者さんが、乳がんと診断され治療を受ける中で、自分自身や家族を見つめ直し、新たな世界へ踏み出す時の心持の象徴が、卯の花の可憐な姿に相通ずると思い、会の皆さんと相談してこの名称としました。
私は乳がん患者ではありませんが、設立当初から「卯の花会」の皆さんと関りを持っています。診察室では医療者と患者という関係になってしまいますが、この会では一人の友人として参加させてもらっています。7月15日の土曜の午後、コロナ蔓延後初めての「卯の花会」の集まりが原町赤十字病院内で行われました。新しい会員も5人増え、職員も含め30名以上の人が参加しました。参加者全員生き生きとしていて話も弾み、あっという間の2時間でした。本当に楽しい時間を過ごすことができました。
世の中にはたくさんの集まり、グループがあります。同じ職場、同じ部署、様々な委員会、趣味を同じくする人たちの会、そして家族、兄弟姉妹、同級生、同窓生など枚挙にいとまがありません。その中でもこの「卯の花会」が、会員の皆さんにとってかけがえのないグループの一つになっていけば、医療に携わる私にとってこれほど幸せなことはありません。
「卯の花会」がずっと続くことを心から願っています。

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