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健康とは何か?

あなたは今、健康ですか? この質問にあなたはどう答えるでしょうか。健康である、と断言する人もいるでしょうし、いや、今は健康ではない、と答える人もいるでしょう。あるいは健康のような気もするが、健康だと言い切ることはできないな、と思う人もいると思います。全く健康ではない、と答える人もいるでしょう。そもそも健康とは何でしょうか。 大きな病気を経験したことのなく普段の生活に何の支障もない方であれば、病気ではない状態こそが健康であると答えるかもしれません。大きな病気を経験してもそれを乗り越えた方であれば、自分は健康であると答える方はそれなりにいるでしょう。それでは高血圧や糖尿病などの病気の治療中の方は健康と言えるのでしょうか。さらに言えば悪性疾患の治療中の方はどうでしょうか。あるいは何らかの障がいを抱えている人はどう考えるでしょうか。こんなことを考えると、健康であるとは何も身体的な問題で割り切れるものではないということがわかります。 1948年に採択されたWHO憲章の前文では、「健康」を次のように定義しています。 「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態」 私たちは「心身ともに健康」といった表現を用います。つまりWHO前文に記載のある、「肉体的にも精神的にも」というところは理解できます。最後の「社会的に」という部分はどう思いますか。人によっては違和感のある方もいるかもしれません。私自身も何の知識もなくこの前文を読めば、社会的に健康とは何なのだろう、と感じるところです。 1月24日の土曜、東吾妻町中央公民館で吾妻郡医師会とNPO法人あがつま医療アカデミーおよび吾妻郡の6町村などの共催で、あがつま医療フォーラム2025 冬が開催されました。第1部の講演では、群馬大学大学院医学系研究科 総合医療学教授の小和瀬桂子先生に【健康格差をもたらす「健康の社会的決定要因」にどのように向き合うか】というタイトルでお話をしていただきました。「健康の社会的決定要因」とはSocial Determinant of Health : SDH と呼ばれるものです。SDHについてこの文章の中で説明することはできませんが、健康には間違いなく社会的要因が関与しており、私たち医療や介護に従事する者は、普段からこれを意識する必要が...

頼むから静かにしてくれ

どこにでもいるごく当たり前の、そして良心的に生きようと努力している人が、何らかの原因によって、それはおそらくほんのわずかな欠陥のせいで、やはりどこにでもあるような人生の落とし穴に落ち込んで、にっちもさっちもいかなくなっている。(この文章はある作家の文章を一部引用しています)こんな光景は、誰でも目にしたことがあるのではないでしょうか。というより、誰もが経験していると言った方が適切かもしれませんね。落とし穴に落ちても這い上がれればいいのですが、最初はほんのわずかな窪みだったはずが、知らぬ間に蟻地獄の巣のようになってしまうこともあります。 人は時間を持て余すと、様々ななことをあれこれ考えすぎる傾向にあります。考えすぎることが悪いわけではないのでしょうが、そのちょっとした考えが誤解を生み、小さな落とし穴に入り込んだことをきっかけに他人との関係を気まずくしてしまうことは、私たちにはよくあることです。話が変わりますが、働き方改革は私たち自身が自由に使える時間を確かに増やしました。おかげでいろいろなこともできるし、考える時間も以前よりも増えました。それは良いことのように見えますが、実はその得られた時間を上手に使いこなすことは、実はかなり難しいことです。 私たちの日々の生活には、常に不条理な要素が紛れ込んできます。如何ともし難いこれらの不条理に知性や理性だけで解決しようと思っても、なかなかうまくはいかないものです。上手にいなすことができれば良いのでしょうが。あるいは見て見ぬふりをするというのも一つの方法かもしれません。いや、そんなことは自分の良心が許さない、真っ向から対決だ、という選択をしなくてはならないこともあるでしょう。特に正解があるわけではありません。 年末年始はいつもより自由にできる時間が増えましたので、その分私は普段より多くの本を読むことができました。今回のタイトルはいくつか読んだ本の中で、最もインパクトのあるタイトルを借用しました。今回の文章はその感想のようなものです。 頼むから静かにしてくれ Will you please be quiet, please? 口に出すのは憚られても、このような言葉を発したいときは誰でもありますよね。ただ単に周りがうるさいからというのではなく、とても悲しい時、何かについて考えを巡らしている時、反省している時、蟻地獄の巣の中に落ち込んでし...

全国大学ラグビー選手権決勝

1月11日の日曜、全国大学ラグビー選手権の決勝がありました。今回は早稲田と明治による決勝です。優勝回数の第1位は早稲田で16回、2位が明治で13回(帝京も13回)であり、まさに大学ラグビー伝統校同士の一戦となりました。 自分がラグビーに熱中していた高校大学時代、つまり昭和50年代から60年代、横の早稲田(ボールをバックスに展開しグランドを自由自在に走り回る)と、縦の明治(強いフォワードを中心にゴールラインに向かって直線的に走る)というように、全く異なるチームスタイルでした。監督についても数年ごとに変わる早稲田に対して、明治は北島忠治氏が昭和4年からずっと監督を務めていました。それぞれの戦略についても、定期的に監督が代わる早稲田では基本的に横への展開を重視しながらも常に変化していくのに対し、明治では北島監督の言葉として知られる“前へ”というスタイルを徹底的に貫き通しました。もちろん今では両校ともに昔のスタイルに固執することは全くないのでしょうが、大学ラグビーの伝統校である2校が選手権の決勝まで勝ち上がってきましたので、久しぶりにテレビ観戦しました。両チームの選手たちはともに激しく熱のこもったプレーを見せてくれ、結果は明治大学が7年ぶりの大学日本一に輝きました。明治大学の関係者、応援していた方、おめでとうございます。試合終了時のノーサイドの瞬間は、いつ見てもすがすがしいものですね。 ところで全国大学ラグビー選手権の決勝には忘れられない思い出があります。私の高校時代、ラグビーは人気スポーツの一つになりつつありました。高校3年の1月、ラグビー部ではないラグビー好きな友人たちに誘われ(確か7,8人くらい)、太田駅から電車に乗って国立競技場まで試合観戦に行ったことがあります。その1週間後には共通一次試験という大学受験のための試験があり、ほとんど皆受けることになっていました。(私は国立のみ受験するつもりでしたのでかなり大事な試験でした)ですから何もそんな時に行くのは相当間抜けな話で皆不安を抱えていたはずですが、そんな気持ちを表出する者はなく(いたかもしれませんが覚えていません)、つまり若者特有の見栄もあったでしょうし、実際それだけラグビー好きだったということでもあります。私を含め全員受験は失敗し、つまり挫折を経験し、ほとんどは東京で予備校生活を送りました。その後皆大学を入学卒業し...

俊寛からMy Revolutionへ

毎月最後の日曜の21時より「古典芸能への招待」というNHK番組があります。これを録画し、1か月かけてのんびりと見るのがかなり前からの私の習慣の一つになっています。1か月という時間があるにもかかわらず時々見終わらないこともあり、その場合は録画を消去してしまうのでそれほど熱心に見ているわけではありません。昨年12月の放送では、歌舞伎の「俊寛」が放映されました。これまでにも数回放映されている人気演目ですので、ご存じの方も多いかと思います。 平家打倒の陰謀を企てた罪科により、俊寛を含め三名が薩摩の鬼界島に流されます。3年の後に臨時の恩赦が出ましたが、俊寛にはその許しが与えられません。(なおこのあたりの経緯は、歌舞伎と能ではかなり異なっています)二人を乗せた船が島を離れる時、名残を惜しみながら一人見送る俊寛の姿は悲しみを誘います。話としてはそれで終わりなのですが、船が俊寛の眼の届かないところまで離れた後もこの歌舞伎は数分続き、俊寛の慟哭する姿を私たちは見ることになります。そして、結局人は他人のことを知ることはできないし、人に寄り添うと言ってもそれは言葉だけのことに過ぎない、という思いに駆られます。この俊寛の姿は、私たち医療に携わるものに対するメッセージなのかもしれません。 正月三日、渡辺美里の昔のコンサートの様子がテレビで放送され、途中からですが熱心に見てしまいました。大学の最終学年、つまり昭和62年の夏から秋にかけて時々先輩宅で麻雀をする機会があったのですが、その時いつも流れていたのが渡辺美里の「My Revolution」でした。麻雀をしている時にはこの曲に特別な思いはなかったのですが、この曲のメロディの心地よさと歌詞の中のいくつかのフレーズと、My Revolutionというストレートなタイトルが私を徐々に惹きつけ、その後も時々渡辺美里の曲を聞いています。Revolutionだけだと歴史的な大事件とか、社会に大きな変革を起こすとかいった非常に大袈裟なイメージがありますが、Myという単語が一つ加わることで、個人のちっぽけな、ちょっとした変化でもオーケーだよ、という気にしてくれます。しかし他人には大したことではない、あるいは小さすぎて何も見えないとしても、本人にとっては結構大真面目なことなんだ、というニュアンスがMy Revolutionにはあると私自身は感じます。 令和8...