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人の寿命を決めるものとは何か?

人は誰でも亡くなることはわかっているものですが、その亡くなり方があまりに急だと、あるいは予想していなかったような亡くなり方だと、その現実を素直に受け入れられないことがあります。私は様々な場所で健康な方を対象に、自分が亡くなる場合どんな形が良いですか、と質問することがあります。するとかなり多くの方が、「ピンピンコロリ」を望むと答えます。その頻度は、若い方の方が多い印象があります。しかし本当に「ピンピンコロリ」で亡くなってしまうと、あるいは「ピンピンコロリ」でなくとも急に亡くなってしまうと、その方のご家族や友人たちの悲しみは実に深いものです。それは悲しみだけでなく、くやしさや怒り、やるせなさなど様々な感情を引き起こします。そのような経験がある方であれば誰もが共感するでしょうし、私自身も簡単には語りつくせない、つらい経験があります。 ところで人の寿命を決めるものとは何でしょうか。私は外科医ですので、悪性腫瘍に罹患した多くの患者さんを診ています。早期であれば命に関わることは比較的少ないですが、すでに他の臓器に転移している場合、あるいは手術後に再発している場合、現代の医学では完全に治癒させることは一部の例外を除いて困難とされています。必然的に治療の目的は、完全に治すということではなく、進行をできる限り抑えて副作用の少ない治療を行い病気とうまく付き合う、つまり病気と共存する、ということになります。とは言ってもいつまでもうまく付き合っていけないのも事実です。残念ながら病気は少しずつ進行し、そうして人の命(肉体の命)を奪っていきます。 また、悪性腫瘍だけを罹患しているという方はむしろ稀で、高血圧や糖尿病、心臓疾患や脳血管疾患、肺や肝臓などの慢性疾患などを抱えている方が大半です。これらの病気自体も直接生命に関わるものも多々ありますし、間接的に影響していることも言うまでもありません。 悪性腫瘍の治療成績を評価する方法として、治療開始後の生存期間というものがあります。治療する時の病気の進行具合で、生命予後をある程度推測することができますし、最近はこの件について直接質問される方が多くなっています。2,3年です、と答えることもあれば、1年くらい、あるいは数か月、あるいは1か月も厳しい、と答えることもあります。もちろんこのような答えをするのは、その答えを冷静に受け止めることができるであろうとい...